<柴崎ひとみ、中島瑞季さん> チーム下剋上(「ワイワイ アリスパニック」 7月2日−4日)

柴崎ひとみ、中島瑞季さん
柴崎さん(右)は埼玉県越谷市、中島さんは千葉県松戸市生まれ。都内の京華女子中高校の演劇部仲間。卒業後の1999年に結成、翌年に旗揚げ公演(「スミマセン、番号まちがえました」)。以後、童話やファンタジーを題材に、衣装や小道具に凝った「ブラック・ファンタジー」作品を発表。今回が第7回公演。

 「楽しめるブラック・ファンタジー 衣装や道具にも凝ります」

−今回の芝居は「ヘンゼルとグレーテル」と「不思議の国のアリス」を題材にしているようですね。
柴崎 始まりは「ヘンゼルとグレーテル」です。2人は貧乏な家庭で育ち、両親に捨てられて道に迷い、森の中でお菓子の家に入って魔女に捕まってしまうというところまではオリジナルのお話通りです。その後はアリスが出てきたりハンプティ・ダンプティが登場したり、「ヘンゼルとグレーテル」でもなく「不思議の国のアリス」でもなく、「チーム下剋上」ならではの、ちょっとブラックなファンタジーになります。

−どんな舞台になるんでしょう。ステージを走り回るにぎやかな芝居とか、じっくりせりふを聴かせる芝居とか…。
柴崎 飛び道具が多い芝居です。首が飛んだり(笑い)します。エンターテインメントがしたいというか、それが目標です。シリアスな芝居はまったくやりません。

−それはまた、どうしてでしょう。
柴崎 私たちは京華女子中高校の演劇部出身なんです。顧問の先生がとっても熱心で、演劇活動ではそれなりに知られた存在でした。高校演劇なんで、ドシリアスなものをやるじゃないですか。それで、ちょっと違うわよねって…。
中島 私たちは、もうちょっと違ったものをやりたいね、っていうとこらから始まった。高校では戦争物のひめゆり部隊とか特攻隊の朗読劇とか、シリアスなものを取り上げていました。私たちも社会派だったんでしょうか(笑い)。

−メンバーは?
柴崎 ここにいる4人。全員京華出身です。みんな抜けて行っちゃうんですよお。
中島 歳が歳だから(笑い)。同級生の何人かで始めたんだけど、残ったのはこの2人だけ。
柴崎 ハハハハハ。就職するとか、こんなことやってられねえとか、私たちだけ残ったって感じ(笑い)。みんな、どうしたかなあ。

−みなさん、会社勤めですか。
中島 私は美術系の大学院生です。
柴崎 残りはフリーターでーす(笑い)。

−名前は恐ろしい感じがしますが、どうしてこう付けたんでしょう。
中島 旗揚げメンバーで、劇団名を決める会議をしていた時に、「劇団××」みたいなのはありきたりで嫌だねって言ってたんです。ヤンキーは「おれらのチームで…」みたいな仲間意識を出すじゃないですか。じゃあその言葉をいただいて、後に漢字を持って来る、みたいな、ヤンキー色を全面に出した形にしたんじゃなかったかなあ。決めた当初は十代のやんちゃ子で、他とは違う言い回しをしたかったんじゃないでしょうか。今となってはそんなトンガリ具合はないんですけど、定着してきたからじゃあそれで! みたいな感じですね。

−チームカラーってなんでしょう。
柴崎 女子校から始まったんで、別に意識的とかいうんじゃなくて、最初は女の子だけでやっていたんです。ところが「女の子だけ出演するのはパワーがあっていいね」と言われるようになった。だったら男を出さないで、女だけでやっていこうとなりました。さっきも言ったように、人が殺されて首が飛んだりする芝居なんですけど、そんなことをしてもあまりグロく見えないらしいですよ。
中島 あまり悲惨じゃなくて、コメディーとして素直に楽しめるようですね。

−柴崎さんが作・演出を手掛けていますが、どんな点に苦労してますか。
柴崎 毎回ノイローゼです(エーッ!という声と笑い)。ほかの劇団のステージを見たりすると、結構主張することがあるみたいで、嫌みだったり押しつけがましかったりしてカッコ悪い。だから芝居をよく見れば主張を読み取れるかもしれないけれど、私はあまり説教がましくならないように、自己陶酔に陥らないように、空回りしないように、すごく心がけています。あと一字一句、ことばを選ぶ作業が大変かなあ。メンバーがこれだけですから、いろいろ書きたくても、人数の面で苦労することがありますね。

−「下剋上」らしさって、どういうところにあるんでしょう。
柴崎 エンターテインメントです! 素舞台は見せません。自分が持っているような服装では絶対出演しません。お芝居でしか見られないようなものにしたい。でないと、映画より高い料金を取って、どういうことなんだってなるもんね。テレビや映画で見れないような、すてきな舞台にしたいね。

−最後に付け加えることは…。
柴崎、中島 とりあえず、見に来てほしい!
(2004年6月7日 東京・豊島区の社会教育会館)

<ひとこと>  メンバーは同じ女子高演劇部出身で和気あいあい。インタビューは笑いに包まれ、かえって元気をもらってしまいました。インタビュー写真の撮影もほかのメンバーにお願いしました。感謝! (インタビュー・構成 北嶋孝@ノースアイランド舎)

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